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散りまがふ花のよそめは吉野山
嵐にさわぐ峰の白雲

歌の意味
散り乱れる花を遠目に見ると、吉野山の、嵐に騒ぐ峰の白雲であることだ。
鑑賞
巻第二 春歌下 132

詞書「春日社歌合とて人々歌よみ侍りけるに」
 嵐に散る花の三首目である。散り乱れる花を遠くから白雲と見る。詞書によれば春日社の歌合として人々が詠んだ折の一首である。
 作者の「刑部卿頼輔」は藤原頼輔(一一一二〜一一八六)である。刑部卿を務めた。巻第一の第五十九首は、この頼輔が催した歌合に俊成が詠んで送った歌である。
 場面は桜の散るころ、場所は大和国の吉野山である。
 直接の契機は歌合への出詠である。

 初句「散りまがふ」の「まがふ」は入り混じって見分けがつかなくなる意で、第百七首の伊勢歌にも用いられた語である。
 二句「花のよそめは」の「よそめ」は、遠くから見た目、他所から見たようす、の意である。近くで見れば花、遠目には雲、という距離による見え方の違いが主題であることが、この一語で示される。
 三句「吉野山」で場所が定まる。
 四句「嵐にさわぐ」の「さわぐ」は騒がしく動く意で、雲が風に乱れるさまを表す。花が乱れ散るさまと同じ動きが、雲に移されている。
 結句「峰の白雲」は体言止めである。白雲と桜の見分けを扱う歌は第百二首
第百十五首
第百二十四首にも見えたが、それらが花か雲かを判じかねるのに対し、この歌は花であると知ったうえで、遠目には雲に見えると述べており、混同ではなく距離の問題として整理されている。

まがふ:入り混じって見分けがつかなくなる
よそめ:遠くから見た目。他所から見たようす
さわぐ:騒がしく動く
作者
藤原頼輔
出典
新古今和歌集
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