- 歌の意味
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散る花を忘れないための形見である峰の雲、それだけでも残しておいてくれ、春の山風よ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 144
詞書「千五百番歌合に」
ここから、春風に呼びかけて花の名残をとどめようとする歌が続く。この歌はその一首目で、花に見立てられてきた峰の雲だけでも残せと風に求める。詞書によれば千五百番歌合に出された歌である。
作者の「左近中将良平」は藤原良平(一一八四〜一二四〇)である。関白藤原兼実の子で、第百三十六首
第百四十七首の作者である良経の弟にあたる。
場面は桜の散った後、場所は峰である。
直接の契機は歌合への出詠である。
初句
二句「散る花の忘れがたみの」の「忘れがたみ」は、忘れないためのよすがとなるもの、の意である。「形見」は本巻の第百四十三首にも通じる観念で、巻第一の第十四首
第四十七首
第九十六首でも用いられた語である。
三句「峰の雲」で、そのよすがが示される。白雲は本巻で繰り返し桜の見立てとして用いられており、花が散った今は、雲だけが花に似た白さを保っている。
四句「そをだに残せ」の「そ」は代名詞で峰の雲を指し、「だに」は、せめて〜だけでも、の意である。第百三十四首
第百三十五首でも用いられた語である。「残せ」は命令形で、風への直接の呼びかけとなる。
結句「春の山風」は体言止めで、呼びかけの相手が最後に置かれる倒置である。花を散らした当の相手に、その代わりとなるものを残せと求めるという理屈になっている。次の第百四十五首も同じ結句をもち、同じ相手に呼びかけている。
わすれがたみ:忘れないためのよすがとなるもの
そ:それ。代名詞
だに:せめて〜だけでも
- 作者
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藤原良平
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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