花は散りその色となくながむれば
空しき空に春雨ぞ降る
- 歌の意味
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花は散って、これという色もないままに眺めていると、何もない空に春雨が降っている。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 149
詞書「百首歌中に」
花の去った後を詠む一連の締めくくりである。色を失った空をただ眺めていると、そこに春雨が降っている、という場面である。詞書によれば百首歌のうちの一首である。
作者の式子内親王は後白河天皇の皇女で、賀茂斎院を務めた。本巻では第百一首
第百三十七首に続く三度目の登場となる。第百四十六首の作者である後白河院は父にあたる。
場面は桜の散った後の春雨のころ、場所は特定されない。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「花は散り」で事実がまず示される。言い切らずに下へ続ける形である。
二句「その色となく」は、これという色もなく、の意である。花のあいだは色があったが、今は目にとまる色がない。
三句「ながむれば」の「眺む」は物思いにふけって見ることで、「長雨」と同音でもある。巻第一の第六十四首の行慶歌でも同じ掛かり方が用いられており、結句の春雨と響き合う。
四句「空しき空に」は、何もない空に、の意である。「空し」は第百四十七首の「空しき枝」と同じ語で、そちらが枝、こちらが空である。
結句「春雨ぞ降る」は「ぞ」の係り結びである。色も形もない場所に、細い雨だけが降っている。何も起こらない景をそのまま示して終わり、失われたものを名指さないことで、かえって不在が強く残る。
ながむ:物思いにふけって見る。「長雨」と同音
むなし:何もない。空虚である
- 作者
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式子内親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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