春深くたづねいるさの山の葉に
ほの見し雲の色ぞ残れる
- 歌の意味
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春が深まるころ、尋ねて分け入った、その入るさの山の稜線に、かすかに見た雲の色が残っている。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 156
詞書は前の歌に続き「千五百番歌合に」
花の散った後、山の稜線に雲の色だけが残っているという景を詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「権中納言公経」は西園寺公経である。のちに太政大臣に至り、鎌倉幕府との縁により大きな権勢を得た。巻第一では第七十二首に現れた。
場面は春の終わりに近いころ、場所は山の稜線を望むところである。
直接の契機は歌合への出詠である。
初句「春深く」は春が深まって、の意である。春の終わりが近いことが示される。
二句「たづねいるさの」は、尋ねて分け入る、の意と、地名の「入るさの山」とを重ねた掛詞である。「入るさ」は入るとき、の意でもある。動詞と地名が一語で兼ねられている。
三句「山の葉に」の「山の端」は山の稜線、山と空との境をいう。巻第一の第九十四首の雅経歌にも用いられた語である。
四句「ほの見し」は、かすかに見た、の意である。「し」は過去の助動詞の連体形で、かつて見たことを示す。
結句「色ぞ残れる」は「ぞ」の係り結びで、「残れる」の連体形が結びとなる。花は散り、雲の色だけが稜線に残っている。第百四十八首の経信歌が面影の残ることを詠んだのと同じ主題であり、そちらが空、こちらが山の端である。次の第百五十七首も同じ「残れる」で結ばれており、二首が並べて置かれている。
いるさ:入るとき。またその地名
やまのは:山の稜線。山と空との境
ほの:かすかに
- 作者
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藤原公経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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