緑なる松にかかれる藤なれど
おのが頃とぞ花は咲きける
- 歌の意味
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常に緑である松にかかっている藤ではあるけれど、自分の時季が来ればと、花は咲いたのだった。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 166
詞書「藤の松にかかれるをよめる」
藤の一連の四首目である。原文では作者名が改めて記されておらず、前の歌と同じ作者が続くことを示している。松にかかった藤という景から、それぞれの花に固有の時季があることを詠む。
作者は前歌に続いて紀貫之である。
場面は春の終わり、場所は松に藤のかかったところである。
直接の契機は「藤の松にかかれる」という景を題として詠んだことである。
初句「緑なる」は常に緑である、の意で、松の常緑を示す。巻第一の第六十六首の良経歌が「常磐なる」と苔の色を詠んだのと同じ、変わらないものの提示である。
二句「松にかかれる」は、松に絡みついている、の意である。藤は他の木に巻きついて伸びる蔓性の植物であり、その性質が前提に置かれる。
三句「藤なれど」の「ど」は逆接である。松に頼って生えている藤ではあるけれども、と下に転じる。
四句「おのが頃とぞ」は、自分の時季だといって、の意である。「おのが」は自分自身の、の意で、松の都合ではなく藤自身の時に従うことを示す。
結句「花は咲きける」は「ぞ」の結びで連体形となる。他の木に依りながらも咲く時は自ら決めるという捉え方であり、色の変わらない松と、時季の来た藤とが対比されている。前歌が春を引き延ばすと詠んだのに続き、この歌も藤の時季の遅さを主題としている。
みどりなり:常に緑である
かかる:絡みつく。垂れかかる
おのが:自分自身の
- 作者
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紀貫之
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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