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折節も移れば変へつ世の中の
人の心の花染めの袖

歌の意味
季節が移れば衣も変えてしまった。世の中の人の心もまた、褪せやすい花染めの袖のようだ。
鑑賞
巻第三 夏歌 179

詞書「夏のはじめの歌とてよみ侍りける」
 更衣の一連を締めくくる歌である。衣を替えるという行事から、人の心の変わりやすさへ転じる。詞書によれば夏の初めの歌として詠まれた。
 作者の「皇太后宮大夫俊成女」は藤原俊成の孫で、その養女となった女性である。巻第一では第四十七首、巻第二では第百十二首
第百四十首
第百七十一首に現れた。
 場面は四月一日の更衣のころ、場所は特定されない。
 直接の契機は夏の初めの歌としての詠出である。

 初句「折節も」は季節、時節をいう。「も」は、季節までも、の含みである。
 二句「移れば変へつ」の「移る」は時が過ぎる意と、色が褪せる意の両方をもつ。「変へつ」は衣を替えた、の意で、「つ」は完了の助動詞である。時が移れば衣を替えるという事実が、まず述べられる。
 三句
四句「世の中の人の心の」で、話が衣から人の心へ移る。
 結句「花染めの袖」は体言止めである。「花染め」は露草などの花で染めた色で、美しいが褪せやすいことで知られた。人の心もまた、そのように移り変わるという含みになる。
 更衣という行事の歌でありながら、下の句で人事の批評に転じており、第百七十七首が春への未練を残したのに対し、この歌は季節そのものより人の心を主題としている。前の三首が衣という物に即して詠んだのを受け、その物の性質を人の心に重ねて一連を閉じる形である。

をりふし:季節。時節
うつる:時が過ぎる意と、色が褪せる意をもつ
はなぞめ:露草などの花で染めた色。美しいが褪せやすい
作者
藤原俊成女
出典
新古今和歌集
その他の歌