卯の花のむらむら咲ける垣根をば
雲間の月の影かとぞ見る
- 歌の意味
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卯の花がむらがって咲いている垣根を、雲の切れ間から差す月の光かと見ることだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 180
詞書「卯花如月といへる心をよませ給ひける」
ここから卯の花を主題とする歌が続く。詞書の「卯花如月」は、卯の花は月のごとし、の意で、その心によって詠ませられた歌である。漢詩の句を思わせる題の立て方で、巻第一の第五十五首や巻第二の第百五十二首と同じく、句題によって詠まれた歌の系列に属する。
作者の白河院(一〇五三〜一一二九)は後三条天皇の第一皇子である。譲位後に院政を始め、長く政務を執った。巻第一の第八十首の詞書にも現れる。
場面は夏の初め、場所は卯の花の咲く垣根である。卯の花は空木の花で、白く小さな花が房になって咲く。
直接の契機は「卯花如月」の題による詠である。
初句「卯の花の」で対象を掲げる。
二句「むらむら咲ける」は、群がって点々と咲いている、の意である。一様ではなく、まばらに固まって咲くさまが示される。
三句「垣根をば」の「をば」は「をは」の濁った形で、強調を含む目的語の提示である。
四句「雲間の月の」は、雲の切れ間から差す月、の意である。まばらに咲く白い花を、雲に隔てられて点々と差す月光に見立てている。題の「如月」を、月そのものではなく雲間の月として具体化した点に工夫がある。
結句「影かとぞ見る」の「影」は光をいい、「ぞ」の係り結びで「見る」の連体形が結びとなる。巻第一以来、雪と花、雲と花を取り違える見立てがくり返されてきたが、ここでは月の光と花が取り違えられており、白いものを別の白いものと見る型が夏の歌へ引き継がれている。
うのはな:空木の花。白く小さな花が房になって咲く
むらむら:群がって点々とあるさま
かげ:月や日の光
- 作者
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白河院
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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