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卯の花の咲きぬる時は白妙の
波もて結へる垣根とぞ見る

歌の意味
卯の花が咲いた時は、白い波で結い上げた垣根かと見ることだ。
鑑賞
巻第三 夏歌 181

詞書「題しらず」
 卯の花の二首目である。前歌が月光に見立てたのに対し、この歌は白波に見立てる。二首が同じ花を別の白いものに擬えており、並べて置かれている。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
 作者の「大宰大弐重家」は藤原重家(一一二八〜一一八〇)である。藤原顕輔の子で、六条藤家に属する。巻第二の第百二十四首の作者である顕輔は父、巻第一の第三十四首の作者である清輔は兄にあたる。
 場面は夏の初め、場所は卯の花の咲く垣根である。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句
二句「卯の花の咲きぬる時は」の「ぬる」は完了の助動詞の連体形で、咲いた時は、の意になる。
 三句「白妙の」は白い布をいい、下の「波」に係る。第百七十五首の巻頭歌にも用いられた語であり、白を示す語として夏の歌でも繰り返される。
 四句「波もて結へる」の「もて」は「もって」の意、「結ふ」は垣を結い上げることをいう。白波で垣根を結ったという見立てであり、波を職人のように働かせる点で、巻第一の第七十一首の崇徳院歌が波に柳を織らせたのと同じ発想である。
 結句「垣根とぞ見る」は「ぞ」の係り結びで、前歌と同じく「見る」の連体形が結びとなる。二首が結句を共有している。花を白波に見立てる型は巻第二の第百三十二首でも桜に用いられており、季節を替えて反復されている。

しろたへ:楮の繊維で織った白い布。転じて白いこと
もて:「もって」の意
ゆふ:結い上げる
作者
藤原重家
出典
新古今和歌集
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