かりにくと恨みし人の絶えにしを
草葉につけて偲ぶころかな
- 歌の意味
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かりそめに来るだけだと恨んだ人が、その後すっかり絶えてしまったのを、草葉につけて思い出す季節であることだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 187
詞書は前の歌に続き「題しらず」
夏草の四首目である。茂る草を見て、来なくなった人を思い出すと詠む。原文では詞書も作者名も改めて記されておらず、前の歌と同じ作者が続くことを示している。
作者は前歌に続いて曽禰好忠である。
場面は夏草の茂るころ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「かりにくと」は、かりそめに来るだけだと、の意である。「かり」には草を「刈り」に来る意が掛けられており、下の「草葉」の縁語として働く。恋の歌の語と草の語が一語で結ばれている。
二句「恨みし人の」は、そう恨んだ相手、の意である。訪れが絶え絶えであったことへの不満が過去のこととして置かれる。
三句「絶えにしを」の「絶ゆ」は途絶える意、「を」は逆接に近い働きをする。かりそめにでも来ていたころを恨んだが、今はそれさえないという転換が示される。
四句「草葉につけて」は、草葉を見るにつけて、の意である。茂る草が思い出のきっかけとなる。
結句「偲ぶころかな」の「偲ぶ」は思い慕う、思い出す意である。夏草の歌に恋の心を重ねる作りで、前歌が同じ作者による庭の景の歌であったのに対し、こちらは人事に転じている。
かりにく:かりそめに来る意と、草を刈りに来る意を掛ける
たゆ:途絶える
しのぶ:思い慕う。思い出す
- 作者
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曽禰好忠
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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