- 歌の意味
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鳴く声をどうして抑えきれないのか、時鳥よ。初めて咲いた卯の花の陰に隠れていながら。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 190
詞書は前の歌に続き「題しらず」
時鳥を主題とする長い一連の始まりに置かれる。前歌が一声も聞かれないと嘆いたのに対し、この歌では姿を隠しながら声を抑えきれない鳥が詠まれる。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代の歌人で、『万葉集』を代表する歌人である。『古今和歌集』の仮名序では和歌の聖として挙げられている。巻第一の第九十九首の本歌もこの人麻呂の歌とされる。
場面は夏の初め、場所は卯の花の咲いているところである。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「鳴く声を」で対象が示される。
二句「えやは忍ばぬ」の「え」は下に打消を伴って不可能を表す副詞、「やは」は反語の係助詞である。どうして抑えることができないのか、の意になる。姿を隠しているのに声だけは抑えられないという矛盾が指摘される。
三句「時鳥」で相手が定まる。
四句「初卯の花の」の「初」は、その年に初めて咲いた、の意である。巻第一の第八十五首の家持歌の「初桜花」と同じ用い方である。第百八十首
第百八十一首で詠まれた卯の花が、ここでは時鳥の隠れる場所として現れる。
結句「陰に隠れて」は、言い切らずに結ぶ形である。隠れているという状態が最後に置かれ、声だけが聞こえて姿が見えないという、時鳥の歌の基本的な設定がここで示される。以下の一連は、この見えない鳥をめぐって展開する。
えやは:下に打消を伴い、どうして〜できようかの意を表す
しのぶ:こらえる。抑える
はつ:その年に初めての
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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