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聞きてしもなほぞ寝られぬ時鳥
待ちし夜頃の心ならひに

歌の意味
聞いてしまってさえ、やはり眠れない。時鳥よ、待ち続けた幾夜かの心の習わしのために。
鑑賞
巻第三 夏歌 199

詞書「題しらず」
 時鳥の声を聞いた後もなお眠れないと詠む。待つ習慣が身についてしまったという理屈である。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
 作者の「花園左大臣」は源有仁(一一〇三〜一一四七)である。輔仁親王の子で、左大臣に至った。花園に邸を構えたことからこの呼び名がある。巻第一の第七十首の作者である輔仁親王は父にあたる。
 場面は夏の夜、場所は特定されない。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。
 なお原文の四句には「ろ」の下に「の」を補う旨の注記が添えられているが、読み仮名の行に従って「夜頃の」と扱う。

 初句「聞きてしも」の「しも」は強意で、聞いてしまってさえ、の意になる。
 二句「なほぞ寝られぬ」の「られ」は可能の助動詞、「ぬ」は打消で、やはり眠ることができない、の意である。第百九十五首
第百九十七首が声を聞く前の不眠を詠んだのに対し、この歌は聞いた後の不眠を詠む。
 三句「時鳥」で相手が示される。
 四句「待ちし夜頃の」の「夜頃」は幾晩かの夜をいう。一夜ではなく、幾晩も待ち続けたことが示される。
 結句「心ならひに」の「心ならひ」は、心についてしまった習慣をいう。目的が果たされても習慣は残るという観察であり、待つことそのものが独立した状態になってしまっている。時鳥を待つ一連の中で、待つ心のありようにまで踏み込んだ歌である。

しも:強意を表す副助詞
よごろ:幾晩かの夜
こころならひ:心についてしまった習慣
作者
源有仁
出典
新古今和歌集
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