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二声と聞かずは出でじ時鳥
いく夜明かしの泊りなりとも

歌の意味
二声と聞かないうちは、ここを発つまい。時鳥よ。幾夜を明かす明石の泊りであっても。
鑑賞
巻第三 夏歌 206

詞書「海辺郭公といふことをよみ侍りける」
 詞書の「海辺郭公」は、海辺の郭公、の意で、その題によって詠まれた。旅の泊りで時鳥を待つ場面である。
 作者の「按察使公通」は藤原公通である。平安時代後期の公卿
歌人で、按察使を務めた。
 場面は夏の夜、場所は播磨国の歌枕である明石の泊りである。都から西へ向かう船路の要所であった。
 直接の契機は「海辺郭公」の題による詠である。

 初句
二句「二声と聞かずは出でじ」の「じ」は打消意志の助動詞で、出発するまい、の意になる。二声聞くまでは船を出さないという宣言である。二声を求める点で、第百九十七首の経信歌と同じ趣向を旅の場面に移している。
 三句「時鳥」で相手が示される。
 四句「いく夜明かしの」の「明かし」は夜を明かす意と、地名の「明石」とを重ねた掛詞である。何夜も明かすことになる明石の泊り、という二重の意味になる。前歌の「待ちかね山」と同じく、心の状態を地名に重ねる作り方である。
 結句「泊りなりとも」の「とも」は逆接の仮定条件で、〜であっても、の意になる。旅程の遅れをいとわないという構えであり、待つことへの執着が旅という現実の不利益を押しのけている。

あかし:夜を明かす意と、地名の「明石」を掛ける
とまり:船の停泊するところ
じ:打消意志の助動詞。〜まい
作者
藤原公通
出典
新古今和歌集
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