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小笹葺く賤の丸屋の仮の戸を
あけがたに鳴く時鳥かな

歌の意味
小笹で葺いた賤しい丸屋の、仮の戸を、明け方に鳴いて開けさせる時鳥であることだ。
鑑賞
巻第三 夏歌 219

詞書「山家暁郭公といへる心を」
 詞書の「山家暁郭公」は、山家の暁の郭公、の意である。山中の粗末な家で、明け方に時鳥の声を聞く場面である。
 作者の「後徳大寺左大臣」は藤原実定である。左大臣に至り、藤原俊成の甥、定家の従兄にあたる。巻第一では第三十五首、巻第二では第百四十一首に現れた。第二百十首の詞書にある後徳大寺左大臣も同じ人物である。
 場面は夏の明け方、場所は山中の粗末な家である。
 直接の契機は「山家暁郭公」の題による詠である。

 初句「小笹葺く」は、小笹で屋根を葺いた、の意である。「小」は語調を整える接頭語である。
 二句「賤の丸屋の」の「賤」は身分の低い者、「丸屋」は円く粗末に作った小屋をいう。山中の質素な住まいが示される。巻第二の第百七十三首の宮内卿歌の「柴の戸」と同じ系列の語である。
 三句「仮の戸を」は、仮に設けた戸、の意である。
 四句「あけがたに鳴く」の「明け方」には、戸を「開け」の意が掛けられている。夜が明ける意と、戸を開けさせる意とが一語で兼ねられ、上の「戸を」がその目的語として働く。
 結句「時鳥かな」は体言止めで、「かな」の詠嘆で結ばれる。粗末な家の戸を、鳥の声が開けさせるという言い方であり、声が物理的な働きをもつかのように扱われている。

をざさ:小さな笹。「を」は語調を整える接頭語
しづ:身分の低い者
まろや:円く粗末に作った小屋
あけがた:夜明け方の意に、戸を開ける意を掛ける
作者
藤原実定
出典
新古今和歌集
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