飽かなくに散りにし花の色々は
残りにけりな君が袂に
- 歌の意味
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見飽きないうちに散ってしまった花の色々は、残っていたのだなあ、あなたの袂に。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 222
詞書「五月五日、薬玉つかはして侍りける人に」
五月五日の節句の二首目である。詞書によれば五月五日に薬玉を贈った相手へ詠み送った歌である。薬玉は五月五日に贈答される飾りで、菖蒲や蓬に色とりどりの造花を添え、五色の糸を垂らしたものである。
作者の「大納言経信」は源経信である。大納言に至り、和歌のほか漢詩
管絃にも通じた。巻第二では第百二十二首
第百四十八首、本巻では第百九十七首に現れた。
場面は五月五日、場所は特定されない。
直接の契機は、薬玉を贈るのに添えて歌を詠み送ったことである。
初句「飽かなくに」は、見飽きないのに、の意である。「あかず」は巻第二で繰り返し用いられた語で、本巻でも第百九十三首
第百八十五首に現れた。
二句「散りにし花の」は、春に散ってしまった花をいう。
三句「色々は」は、その色とりどりの色は、の意である。
四句「残りにけりな」の「けり」に詠嘆の終助詞「な」が添えられ、気づきの驚きが直接に出る。第百八十八首の元真歌、巻第一の第六首の俊恵歌と同じ形である。
結句「君が袂に」は体言止めである。薬玉の造花の色を、春に散った花の色が移り残ったものと見立てている。贈った当人が、贈った物について「残っていた」と言うところに機知があり、相手の袂を花の行方として持ち出す点で、贈答歌らしい仕立てになっている。
あかず:満ち足りない。見飽きない
くすだま:五月五日に贈答する飾り。菖蒲や蓬に造花を添え、五色の糸を垂らす
たもと:袖
- 作者
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源経信
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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