何事とあやめは分かで今日もなほ
袂にあまるねこそ絶えせね
- 歌の意味
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何事であるかも、その筋道を見分けられないまま、今日もやはり、袂に余るほどの根が絶えることはない。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 224
詞書「返し」
前歌への返歌である。相手の用いた「あやめ」「根」の語をそのまま受け、自分もまた同じであると応じる。
作者の紫式部は『源氏物語』の作者である。本巻では第百九十一首
第二百四首に続く三度目の登場となる。
場面は前歌と同じく五月六日の朝である。
直接の契機は、上東門院小少将から菖蒲の根と歌を贈られたことである。
初句「何事と」は、何事であるかと、の意である。
二句「あやめは分かで」の「あやめ」は、前歌では菖蒲の草を指したが、ここでは物の区別、道理の意で用いられている。同じ語を別の意味で受け返すのは贈答歌の作法であり、巻第一の第四十九首、巻第二の第百三十六首
第百三十八首でも同じ受け方が見られた。「分く」は見分ける意である。
三句「今日もなほ」は、今日もやはり、の意である。
四句「袂にあまる」は、袂に収まりきらない、の意である。前歌が長い根を贈ってきたことを受け、その長さを袂に余ると言い換えている。
結句「根こそ絶えせね」の「根」は前歌と同じく泣く「音」を掛ける。「こそ」の係り結びで「ね」の已然形が結びとなる。泣く声が絶えないという意になり、相手のつらさに自分のつらさを重ねて答えている。
あやめ:物の区別。道理。前歌の「あやめ草」を別の意で受ける
わく:見分ける。区別する
ね:菖蒲の根。泣く「音」を掛ける
- 作者
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紫式部
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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