- 歌の意味
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時鳥が花橘の香を求めて鳴くのは、昔の人が恋しいからなのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 244
詞書は前の歌に続き「題しらず」
花橘の七首目である。時鳥が橘の香を慕って鳴くのだとし、鳥にも昔を思う心があるとする。原文では詞書も作者名も改めて記されておらず、前の歌と同じ作者が続くことを示している。
作者は前歌に続いて「よみ人しらず」であり、人名は伝わっていない。
場面は花橘の咲くころ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
時鳥と橘はともに五月の景物であり、取り合わせて詠まれることが多い。
初句「時鳥」で対象を掲げる。本巻の前半を占めた鳥が、橘の一連の中で改めて現れる。
二句
三句「花橘の香をとめて」の「とむ」は求める、探す意である。香を追って鳴くという捉え方が示される。
四句「鳴くは昔の」は、鳴くのは昔の、の意で、下の「人」に係る。
結句「人や恋しき」の「や」は疑問の係助詞で、「恋しき」の連体形が結びとなる。橘の香が昔の人を思わせるという観念を、人ではなく鳥に当てはめている点に趣向がある。第百九十四首が時鳥の鳴く理由を妻を恋う心に求めたのと同じく、鳥の声に理由を与える型である。
第二百三十八首以来、橘の香をめぐって人の記憶が問われてきたが、この歌はその主体を鳥に移しており、一連の中で視点が広げられている。
とむ:求める。探す
むかしのひと:昔なじみの人。また亡くなった人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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