- 歌の意味
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橘の香るあたりでのうたた寝では、夢までも昔の人の袖の香がするのだった。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 245
詞書は前の歌に続き「題しらず」
花橘の八首目である。本歌の句をほぼそのまま用い、夢にまで香が及ぶと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「皇太后宮大夫俊成女」は藤原俊成の孫で、その養女となった女性である。巻第一では第四十七首、巻第二では第百十二首ほか、本巻では第百七十九首に現れた。
場面は花橘の咲くころ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
本歌は『古今和歌集』夏の「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」である。第二百三十八首の俊成歌もこの歌を踏まえる。
初句
二句「橘の匂ふあたりの」で場所が定まる。香の及ぶ範囲を場所として示す言い方である。
三句「うたた寝は」の「うたた寝」は本格的に床に入らずに眠ることで、第百九十七首
第二百四十二首にも用いられた語である。
四句「夢も昔の」の「も」は、現実だけでなく夢までも、の含みである。第二百四十首の式子内親王歌が夢の枕に橘を置いたのに続き、こちらは夢の中身にまで香が及ぶとする。
結句「袖の香ぞする」は本歌の結句をそのまま用いた部分である。「ぞ」の係り結びで「する」の連体形が結びとなる。本歌を語句のうえで最も忠実に受け継ぐ歌であり、そこに「うたた寝」と「夢」を加えることで、覚めているときの記憶を眠りの中へ移している。
うたたね:本格的に床に入らずに眠ること
そでのか:衣に焚きしめた香。人を思い出させるものとされた
- 作者
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藤原俊成女
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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