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大井川篝さし行く鵜飼舟
幾瀬に夏の夜を明かすらん

歌の意味
大井川を、篝火をさし掲げて行く鵜飼舟は、いくつの瀬で夏の夜を明かすのだろう。
鑑賞
巻第三 夏歌 253

詞書「千五百番歌合に」
 鵜飼の三首目である。舟が夜通し瀬を移っていくさまを詠む。詞書によれば千五百番歌合に出された歌である。
 作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。本巻では第二百一首ほかに続く六度目の登場となる。
 場面は夏の夜、場所は山城国の大井川である。嵐山のふもとを流れる川で、鵜飼の行われる地として知られた。
 直接の契機は歌合への出詠である。

 初句「大井川」で場所を掲げる。前の二首が宇治川および場所を示さない川であったのに対し、ここでは別の名所が置かれる。
 二句「篝さし行く」の「さす」は篝火を掲げる意である。前歌の「高瀬さし越す」が棹をさす意であったのに対し、同じ語が別の意味で用いられている。
 三句「鵜飼舟」は前の二首の初句と同じ語で、ここでは三句に置かれる。三首が同じ語を軸に並べられている。
 四句「幾瀬に夏の」の「幾瀬」はいくつの瀬か、の意である。舟が一つの場所にとどまらず、瀬を移りながら漁をすることが示される。
 結句「夜を明かすらん」の「らん」は現在推量の助動詞である。夜通し続く漁を、見ていない側から推し量る形であり、夏の夜の短さと、それを漁に費やす者の姿とが重ねられている。

おほゐがは:山城国の川。嵐山のふもとを流れる
かがりさす:篝火を掲げる
いくせ:いくつの瀬
作者
藤原俊成
出典
新古今和歌集
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