- 歌の意味
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漁火の昔の光がかすかに見えて、芦屋の里に飛ぶ蛍であることだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 255
詞書「百首歌たてまつりし時」
ここから蛍を主題とする歌が続く。前の一連の篝火や漁火を受け、夜の火の光という点で連続する。詞書によれば百首歌を詠進した折の一首である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。本巻では第二百九首
第二百二十首
第二百二十六首に続く四度目の登場となる。
場面は夏の夜、場所は摂津国の芦屋の里(現在の兵庫県芦屋市の一帯)である。海に近く、『伊勢物語』にも海人の漁火とともに詠まれた地として知られる。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「漁火の」は、漁のために舟で焚く火をいう。前の鵜飼の一連の篝火を受ける語であり、二つの一連がここでつながれる。
二句「昔の光」は、かつてこの地で焚かれた漁火の光をいう。今は見られないものが、記憶として持ち出される。
三句「ほの見えて」は、かすかに見えて、の意である。実際に見えているのは蛍の光であり、それが昔の漁火に見えるという構成になる。
四句「芦屋の里に」で場所が定まる。地名を出すことによって、この地に伝わる古い物語の場面が呼び起こされる。
結句「飛ぶ蛍かな」は体言止めで、「かな」の詠嘆で結ばれる。小さな蛍の光を、かつての漁火の名残と見る見立てであり、光の大小が時間の隔たりに置き換えられている。第二百三十八首以来の橘の一連が香によって昔を呼んだのに対し、ここでは光が同じ働きをする。
いさりび:漁のために舟で焚く火
ほの:かすかに
あしやのさと:摂津国の地名。現在の兵庫県芦屋市の一帯
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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