庭の面はまだ乾かぬに夕立の
空さりげなく澄める月かな
- 歌の意味
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庭の面はまだ乾かないのに、夕立の空は何事もなかったように澄んで、月が出ていることだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 267
詞書「夏月をよめる」
夕立の五首目である。雨の跡が地に残っているのに、空はすでに晴れて月が出ているという対比を詠む。詞書によれば夏の月を題として詠まれた。
作者の「従三位頼政」は源頼政(一一〇四〜一一八〇)である。武人として仕えながら和歌に長じ、従三位に叙された。巻第二の第百三十首の作者である二条院讃岐は娘にあたる。
場面は夏の夕立の後の夜、場所は作者の庭である。
直接の契機は「夏月」の題による詠である。
初句「庭の面は」は第二百四十九首の白河院歌と同じ初句である。二首とも庭を地の側から見上げる視点をとる。
二句「まだ乾かぬに」の「に」は逆接に近い働きをする。地面には雨の跡が残っていることが示される。
三句
四句「夕立の空さりげなく」の「さりげなし」は、そんなふうでもない、何事もなかったようだ、の意である。降らせた当の空が知らぬ顔をしている、という捉え方であり、第二百五十九首などで月に用いられた「つれなし」に通じる。
結句「澄める月かな」は体言止めで、「かな」の詠嘆で結ばれる。「澄む」は濁りなく透き通る意で、第二百二十九首の匡房歌でも用いられた。地は濡れたまま、空は澄んでいるという食い違いが一首の眼目であり、夕立の去る速さが、その落差によって示されている。
おも:表面
さりげなし:そんなふうでもない。何事もなかったようだ
すむ:濁りなく透き通る
- 作者
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源頼政
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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