- 歌の意味
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秋の近い気配のする森で鳴く蝉の、その涙の露が下葉を色づかせているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 270
詞書「百首歌たてまつりし時」
ここから蝉と秋の近さを詠む歌が続く。この歌は蝉の涙が下葉を染めるとし、季節の推移の兆しを捉える。詞書によれば百首歌を詠進した折の一首である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。本巻では第二百九首ほかに続く六度目の登場となる。
場面は夏の終わり、場所は森である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「秋近き」で主題が掲げられる。前歌までのひぐらしの声を受け、秋の近さがここで明示される。
二句「気色の森に」の「気色」はようす、けはいをいい、第八十三首の式子内親王歌でも用いられた語である。秋めいた気配のする森、の意になる。
三句「鳴く蝉の」で対象が示される。
四句「涙の露や」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」に係る。蝉が涙を流すという擬人化は、巻第二の第百四十首の俊成女歌が花に世を厭う心を与えたのと同じ型である。
結句「下葉染むらん」の「下葉」は下のほうの葉で、木では最も早く色づく部分である。「染む」は色を染める意で、露が葉を染めるという捉え方になる。実際には季節が葉を色づかせるのだが、その原因を蝉の涙に求めることで、鳴き声と紅葉とが結び付けられている。
けしき:ようす。けはい
したば:下のほうの葉。最も早く色づく
そむ:色を染める
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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