久木生ふる片山陰に忍びつつ
吹きけるものを秋の夕風
- 歌の意味
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久木の生える片山の陰で、人目を忍ぶように吹いていたのだなあ。秋の夕風は。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 274
詞書「刑部卿頼輔歌合し侍りけるに、納涼をよめる」
秋風の忍び寄るさまを詠む。詞書の「納涼」は涼をとることをいう。歌合を催した藤原頼輔は第百三十二首の作者であり、巻第一の第五十九首の詞書にも現れる。
作者の俊恵法師は源俊頼の子で、東大寺の僧である。自坊に歌林苑を設けて歌の会を催した。巻第一では第六首、巻第二では第百四十二首に現れた。第二百六十六首の作者である源俊頼は父にあたる。
場面は夏の終わりの夕方、場所は片山の陰である。
直接の契機は歌合への出詠である。
久木は木の名で、その生える山かげが涼しい場所として詠まれる。
初句「久木生ふる」で場所の様子が示される。
二句「片山陰に」の「片山」は一方が平地に接した低い山をいう。その陰であるから、日の当たらない涼しい場所である。
三句「忍びつつ」の「忍ぶ」はここでは人目を避ける意で、「つつ」は継続を表す。秋風が気づかれないように吹いていたという擬人化である。
四句「吹きけるものを」の「けり」は詠嘆、「ものを」は詠嘆を含む接続助詞で、〜ていたのになあ、の意になる。気づかなかったことへの感慨が示される。
結句「秋の夕風」は体言止めで、その主語が最後に置かれる倒置である。前歌が葦の根もとを通う秋風を詠んだのに続き、この歌も人の気づかないところで吹く秋風を詠む。二首とも、秋が隠れた場所からすでに始まっているとする点で共通する。
ひさぎ:木の名。その生える山かげは涼しいところとされた
かたやま:一方が平地に接した低い山
しのぶ:人目を避ける
- 作者
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俊恵法師
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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