たそかれの軒端の荻に灯すれば
ほに出でぬ秋ぞ下に言問ふ
- 歌の意味
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たそがれ時、軒端の荻に灯をともすと、まだ穂に出ていない秋が、下のほうで語りかけてくる。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 277
詞書「百首歌よみ侍りける中に」
ここから荻を詠む歌が二首続く。荻は秋に穂を出す草で、その音が秋の訪れを告げるものとされた。詞書によれば百首歌のうちの一首である。
作者の式子内親王は後白河天皇の皇女で、賀茂斎院を務めた。本巻では第百八十二首ほかに続く六度目の登場となる。
場面は夏の終わりのたそがれ時、場所は軒端である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「たそかれの」は夕暮をいう。第二百八首の八条院高倉歌でも用いられた語である。
二句「軒端の荻に」の「軒端」は軒の端で、第二百四十三首でも用いられた。荻は軒近くに生える草として詠まれる。
三句「灯すれば」は、灯をともすと、の意である。暗くなりかけた時刻に火を入れる、日常の動作が置かれる。
四句「ほに出でぬ秋ぞ」の「穂に出づ」は、穂が出る意と、表に現れる意とをもつ。荻の縁語であり、まだ穂の出ていない荻と、まだ表に現れていない秋とが一語で結ばれる。「ぞ」は係助詞である。
結句「下に言問ふ」の「言問ふ」は語りかける意である。「下」は表に対する内側、目につかないところをいう。まだ現れていない秋が、見えないところで語りかけてくるという捉え方であり、第二百七十三首
第二百七十四首と同じく、隠れた場所に秋を認める型である。
たそかれ:夕暮。人の顔が見分けにくくなる時分
をぎ:秋に穂を出す草。軒近くに生えるものとして詠まれる
ほにいづ:穂が出る意と、表に現れる意をもつ
こととふ:語りかける
- 作者
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式子内親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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