雲迷ふ夕べに秋を籠めながら
風もほに出でぬ荻の上かな
- 歌の意味
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雲の乱れる夕べに秋を含みながら、風もまだ表に現れないでいる、荻の上であることだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 278
詞書「夏の歌とてよみ侍りける」
荻の二首目である。前歌の「穂に出でぬ」をそのまま受け、まだ表に現れない秋を詠む。詞書によれば夏の歌として詠まれた。
作者の「前大僧正慈円」は慈円である。本巻では第百七十七首ほかに続く五度目の登場となる。
場面は夏の終わりの夕べ、場所は荻の茂るところである。
直接の契機は夏の歌としての詠出である。
初句「雲迷ふ」は、雲が乱れて定まらない、の意である。第二百八首の八条院高倉歌でも「雲のまよひ」と用いられていた。
二句「夕べに秋を」で時刻と主題が示される。
三句「籠めながら」の「籠む」は内に含む意、「ながら」は逆接である。夕べが秋を内に含みながら、それを外に出さないという状態が示される。
四句「風もほに出でぬ」は前歌と同じ句を用いる。「も」は、風までも、の含みである。荻の穂も出ず、風も秋のものとして表に現れない。二重の「まだ」が重ねられている。
結句「荻の上かな」は体言止めで、「かな」の詠嘆で結ばれる。前歌が秋の側から語りかけるとしたのに対し、この歌は秋がなお隠れていると述べる。二首が同じ句を共有しながら、現れる側と隠れる側で対をなしている。
まよふ:乱れて定まらない
こむ:内に含む
ほにいづ:穂が出る意と、表に現れる意をもつ
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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