夏衣かたへ涼しくなりぬなり
夜や更けぬらん行き合ひの空
- 歌の意味
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夏衣の片方が涼しくなったようだ。夜が更けたのだろうか。夏と秋の行き合う空よ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 282
詞書「百首歌たてまつりし時」
夏の終わりの四首目である。夏と秋の境目を、衣の片側の涼しさによって捉える。詞書によれば百首歌を詠進した折の一首である。
作者の「前大僧正慈円」は慈円である。本巻では第百七十七首ほかに続く六度目の登場となる。
場面は夏の最後の夜、場所は特定されない。
直接の契機は百首歌の詠進である。
「行き合ひの空」は夏と秋の行き合う空をいい、六月の末から七月の初めにかけての、季節の境目を指す語である。
初句「夏衣」で対象が示される。本巻では第百七十六首から第百七十九首の更衣の一連、第二百六十首
第二百六十四首でも用いられた語であり、巻の初めと終わりで同じ衣が詠まれている。
二句「かたへ涼しく」の「かたへ」は片方をいう。衣の片側だけが涼しいという捉え方で、身体の半分に季節が届いているという言い方になる。第二百八十一首の「片枝さす」と同じく、片方という語が続けて用いられている。
三句「なりぬなり」の後の「なり」は伝聞推定の助動詞で、そうらしいと判断する形である。
四句「夜や更けぬらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量である。涼しさの理由を夜更けに求めるが、実は季節の推移によるものであり、その取り違えが下の句で解かれる。
結句「行き合ひの空」は体言止めである。夏と秋が行き合う空という語によって、涼しさの本当の理由が最後に明かされる。巻の末尾に近く、季節の交替そのものが主題として据えられている。
かたへ:片方
なり:伝聞推定の助動詞
ゆきあひのそら:夏と秋の行き合う空。季節の境目をいう
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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