神なびのみむろの山の葛かづら
うら吹き返す秋は来にけり
- 歌の意味
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神なびの三室の山の葛のつるが、葉の裏を吹き返されている。秋が来たのだった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 285
詞書「題しらず」
巻第四
秋歌上の巻頭に置かれた一首である。夏の部を承け、季節が改まったことを告げる歌が最初に据えられている。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の「中納言家持」は大伴家持である。奈良時代の歌人で、『万葉集』の編纂に深く関わったとされる。巻第一では第二十首
第八十五首、巻第二では第百五十一首、巻第三では第百九十五首に現れた。
場面は秋の初め、場所は神なびの三室の山である。「神なび」は神の宿るとされた山をいい、巻第三の第百六十一首
第百九十四首でも詠まれた。「三室」も神の坐す室の意で、神域を示す語である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「神なびのみむろの山の」は、神の宿る三室の山、の意である。神域を舞台に据えて歌が始まる。
三句「葛かづら」は葛のつるをいう。葛は葉の裏が白く、風に吹かれると裏を返して白く光る。
四句「うら吹き返す」の「うら」は葉の裏である。風が葉を裏返すことによって、目に見えない風が見えるものとなる。巻第三の第二百九十首でも「吹く風の色こそ見えね」と、見えない風を景によって捉える型が用いられる。
結句「秋は来にけり」は、巻第三の第百七十五首
第二百五十首の「夏は来にけり」に対応する形である。「けり」の詠嘆が、季節の到来に気づいた驚きを表す。巻第一の巻頭歌が「春は来にけり」と結ばれたのと同じ言い切りであり、季節の巻の初めに置かれる型として反復されている。
葉の裏が返るという一点の徴だけで秋の到来を言い当てる構成であり、巻第三の巻頭歌が白い衣を徴としたのと同じ方法である。
かむなび:神が宿るとされた山
みむろ:神の坐す室。神域を示す語
くずかづら:葛のつる。葉の裏が白い
うら:葉の裏
- 作者
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大伴家持
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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