昨日だに問はんと思ひし津の国の
生田の森に秋は来にけり
- 歌の意味
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昨日にでも訪ねようと思っていた、津の国の生田の森に、もう秋が来たのだった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 289
詞書「百首歌よみ侍りける中に」
秋風の五首目である。訪ねようと思っているうちに秋が来てしまったと詠む。詞書によれば百首歌のうちの一首である。
作者の藤原家隆は『新古今和歌集』の撰者の一人である。巻第一では第十七首ほか、巻第二では第百十三首ほか、巻第三では第二百十四首ほかに現れた。
場面は秋の初め、場所は摂津国の歌枕である生田の森(現在の神戸市中央区)である。生田神社の森として知られた。
直接の契機は百首歌の詠出である。
初句「昨日だに」の「だに」は、せめて〜だけでも、の意である。前の二首が「昨日」を比較の基準として用いたのに対し、この歌では行こうと思っていた日として用いられる。同じ語が三首続けて別の働きで現れる。
二句「問はんと思ひし」の「ん」は意志の助動詞、「し」は過去の助動詞の連体形である。思っただけで果たさなかったことが示される。
三句「津の国の」は摂津国をいう。
四句「生田の森に」で場所が定まる。
結句「秋は来にけり」は第二百八十五首と同じ結句である。訪ねる前に季節が変わってしまったという構図で、巻第二の第八十首の隆時歌が花を待つうちに日数が過ぎたと詠んだのと同じく、人の心づもりと季節の進行のずれが主題となっている。
だに:せめて〜だけでも
つのくに:摂津国
いくたのもり:摂津国の歌枕。生田神社の森
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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