深草の露のよすがを契りにて
里をば離れず秋は来にけり
- 歌の意味
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深草の露を頼りとして約束したかのように、里を離れずに秋は来たのだった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 293
詞書「千五百番歌合に」
ここから露を詠む歌が続く。この歌は荒れた里に秋が変わらず訪れることを詠む。詞書によれば千五百番歌合に出された歌である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。関白藤原兼実の子で、『新古今和歌集』の仮名序を執筆した。巻第一では第一首ほか、巻第二では第百三十六首ほか、巻第三では第二百九首ほかに現れた。
場面は秋の初め、場所は山城国の深草(現在の京都市伏見区)である。前の二首の伏見と近い土地であり、地名が続けて置かれている。
直接の契機は歌合への出詠である。
深草は『伊勢物語』において、住み慣れた里を離れる男と、そこに残る女とのやり取りが語られる地である。草深い里という名の意も、その場面と結び付いて詠まれてきた。
初句「深草の」で場所を掲げる。草の深い里という名の意が、そのまま露の多さに通じる。
二句「露のよすがを」の「よすが」は頼りとするもの、縁をいう。
三句「契りにて」は、約束として、の意である。露と結んだ約束によって、という理屈が立てられる。
四句「里をば離れず」の「離る」は離れる意である。「をば」は「をは」の濁った形で、強調を含む目的語の提示になる。人は里を去っても、秋は去らないという含みが生じる。
結句「秋は来にけり」は第二百八十五首
第二百八十九首
第二百九十首と同じ結句で、本巻でこれが四度目となる。人の去った里に季節だけが変わらず訪れるという構図は、巻第二の第百四十七首
第百四十八首が花の去った故郷を詠んだのと通じる。
ふかくさ:山城国の地名。現在の京都市伏見区
よすが:頼りとするもの。縁
かる:離れる
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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