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日を経つつ音こそまされ和泉なる
信太の森の千枝の秋風

歌の意味
日を重ねるにつれて音がまさっていく。和泉にある信太の森の、千の枝を吹く秋風よ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 307

詞書「題を探りてこれかれ歌よみけるに、信太の森の秋風をよめる」
 荻を吹く風の五首目である。詞書によれば、題を籤で引いて各自が詠んだ折に、信太の森の秋風という題を得て詠まれた歌である。
 作者の藤原経衡(一〇〇五〜一〇七二)は平安時代中期の歌人である。
 場面は秋、場所は和泉国の歌枕である信太の森(現在の大阪府和泉市の一帯)である。巻第三の第二百十三首でも詠まれた地である。
 直接の契機は、題を探り当てて詠んだことである。

 初句「日を経つつ」は、日を重ねながら、の意である。「つつ」は継続を表す。一日の変化ではなく、日ごとの積み重ねが示される。第二百八十七首
第二百八十八首が昨日と今日を比べたのに対し、この歌はより長い時間を扱う。
 二句「音こそまされ」の「こそ」は係助詞、「まされ」は已然形で結びとなる。第三百三首の具平親王歌も「音まさる」と詠んでおり、二首が同じ観察を共有している。
 三句「和泉なる」で国名が示される。
 四句「信太の森の」で場所が定まる。
 結句「千枝の秋風」は体言止めである。「千枝」は数多くの枝をいう。枝の数が多いほど風の音も大きいという理屈であり、音の大きさが枝の数として量られている。荻の葉一枚の音から森全体の音へと、一連の中で規模が広がっている。

いづみ:和泉国。現在の大阪府南部
しのだのもり:和泉国の歌枕。現在の大阪府和泉市の一帯
ちえ:数多くの枝
作者
藤原経衡
出典
新古今和歌集
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