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秋風は吹き結べども白露の
乱れて置かぬ草の葉ぞなき

歌の意味
秋風は吹いて露を結ばせるけれども、白露が乱れて置かない草の葉というものはない。
鑑賞
巻第四 秋歌上 310

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 ここから露を詠む歌が続く。この歌は秋風が露を結ばせるという観念を前提に、乱れずに置く葉はないと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の大弐三位は藤原賢子で、紫式部の娘である。後冷泉天皇の乳母を務め、従三位に叙された。巻第一では第四十九首に現れた。
 場面は秋、場所は草の生えるあたりである。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句
二句「秋風は吹き結べども」の「結ぶ」は露を結ばせる意である。第二百九十五首の具親歌が「露をたづぬる秋の初風」と詠んだのと同じ観念で、秋風が露を生むとされる。「ども」は逆接である。
 三句「白露の」で対象が示される。
 四句「乱れて置かぬ」は、乱れて置かない、の意である。風が吹くのだから、露は整然とではなく散り乱れて置くことになる。
 結句「草の葉ぞなき」は「ぞ」の係り結びで、「なき」の連体形が結びとなる。二重の打消に近い言い方で、乱れずに置く葉は一つもない、すなわちすべての葉に乱れて置いている、という意になる。全否定の形で全称を言う構文であり、風の及ぶ範囲の広さが示される。第二百九十九首の西行歌が「人にさへ」と例外のなさを述べたのと同じ型である。

むすぶ:露を結ばせる
しらつゆ:白く光る露
みだる:乱れる
作者
大弐三位
出典
新古今和歌集
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