吹き結ぶ風は昔の秋ながら
ありしにも似ぬ袖の露かな
- 歌の意味
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吹いて露を結ばせる風は昔の秋のままなのに、以前とは似ていない袖の露であることだ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 312
詞書は前の歌に続き「題しらず」
露の三首目である。風は昔と変わらないのに、袖の露だけが変わったと詠み、露が涙であることを示す。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の小野小町は平安時代前期の歌人である。生没年は伝わらない。六歌仙
三十六歌仙の一人に数えられ、その容色をめぐる伝説が数多く語られてきた。
場面は秋、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「吹き結ぶ」は第三百十首の大弐三位歌と同じ語である。二首が同じ語で始まり、露を結ばせる風という観念を共有している。
二句「風は昔の」で、変わらないものが示される。
三句「秋ながら」の「ながら」は逆接で、昔の秋のままでありながら、の意になる。
四句「ありしにも似ぬ」は、以前のものとも似ていない、の意である。第二百八十七首の季通歌が「昨日にも似ぬ」と一日の違いを述べたのに対し、この歌は年を隔てた違いを述べる。同じ形が異なる尺度で用いられている。
結句「袖の露かな」は体言止めである。袖に置く露は涙であり、風が同じでも涙が違うのは、身の上が変わったからである。変わらぬ自然と変わる我が身という構図は、巻第一の第四十七首の俊成女歌、巻第二の第百六十六首の貫之歌にも見られ、本集でくり返される主題である。
むすぶ:露を結ばせる
ながら:逆接の接続助詞。〜でありながら
そでのつゆ:袖に置く露。涙をいう
- 作者
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小野小町
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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