この夕べ降りつる雨は彦星の
門渡る舟の櫂のしづくか
- 歌の意味
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この夕べに降った雨は、彦星が渡し場を渡る舟の、その櫂のしずくなのだろうか。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 314
詞書「題しらず」
七夕の二首目である。地上に降った雨を、天上の舟の櫂のしずくと見立てる。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の山部赤人は奈良時代の歌人で、『万葉集』を代表する歌人の一人である。巻第一では第十一首
第二十九首、巻第二では第百四首
第百十首に現れた。
場面は七月七日の夕べ、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「この夕べ降りつる雨は」で、目の前の事実が示される。「つる」は完了の助動詞の連体形である。
三句「彦星の」で天上に転じる。
四句「門渡る舟の」の「門」は水の狭くなった渡し場をいう。天の川を舟で渡るという趣向は、巻第三の第二百五十四首の定家歌が天の川に鵜飼舟を置いたのとも通じる。
結句「櫂のしづくか」の「か」は疑問の終助詞である。地上の雨を天上の出来事の余波と見る構成であり、天と地を一つの因果で結んでいる。前歌が地上から天を見上げて隔たりを嘆いたのに対し、この歌は天のしずくが地に届くとしており、二首が隔たりと接触で対をなす。
と:水の狭くなった渡し場
かい:舟をこぐ櫂
しづく:水滴
- 作者
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山部赤人
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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