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七夕の天の羽衣うち重ね
寝る夜涼しき秋風ぞ吹く

歌の意味
七夕の、天の羽衣を重ねて寝る夜に、涼しい秋風が吹いている。
鑑賞
巻第四 秋歌上 318

詞書「七夕歌とてよみ侍りける」
 ここから織女の衣を詠む歌が続く。この歌は逢瀬の夜の寝所に吹く風を詠む。詞書によれば七夕の歌として詠まれた。
 作者の「大宰大弐高遠」は藤原高遠である。平安時代中期の歌人で、大宰大弐を務めた。管絃にも通じていた。巻第三では第六十九首に現れた。
 場面は七月七日の夜、場所は天上である。
 直接の契機は七夕の歌としての詠出である。
 「七夕」はここでは織女星を指す。織女は機を織る星であるから、衣に関わる語とともに詠まれることが多い。

 初句「七夕の」で織女が示される。
 二句「天の羽衣」は天人の着る衣をいう。巻第二の第百三十一首の崇徳院歌でも、散る花を天の羽衣が撫でるものとして詠まれていた。
 三句「うち重ね」は、重ね合わせて、の意である。「うち」は語調を整える接頭語である。二人の衣を重ねて寝るのは共寝を表す言い方であり、巻第三の第百九十七首の経信歌の「衣かたしき」が独り寝を表すのと対をなす。
 四句「寝る夜涼しき」で、その夜の風が示される。
 結句「秋風ぞ吹く」は「ぞ」の係り結びである。逢瀬の場に涼しい風が吹くという設定で、涼しさは快さであると同時に、秋の深まりと別れの近さを含んでいる。天上の共寝を詠むこの歌は、第三百十三首の地上の独り寝と対をなす位置にある。

あまのはごろも:天人の着る衣
うちかさぬ:重ね合わせる。共寝を表す
たなばた:織女星
作者
藤原高遠
出典
新古今和歌集
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