- 歌の意味
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秋萩を折らずには通り過ぎまい。月草で摺り染めた衣が、露に濡れるとしても。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 330
詞書は前の歌に続き「題しらず」
萩の三首目である。前歌が染まるに任せると詠んだのに対し、この歌は染めた衣が濡れるのを承知で萩を折ると詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「権僧正永縁」は永縁(一〇四八〜一一二五)である。興福寺の別当を務め、権僧正に至った。
場面は秋、場所は萩の生えるあたりである。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
月草は露草の古名で、その花で摺り染めた色は水に濡れると落ちやすいことで知られた。
初句「秋萩を」で対象が示される。
二句「折らでは過ぎじ」の「で」は打消の接続助詞、「じ」は打消意志の助動詞である。折らずには通り過ぎまい、という決意になる。前歌の「すらじ」と同じ助動詞が、逆の方向の意志として用いられている。
三句「月草の」は露草をいう。
四句「花摺り衣」は花で摺り染めた衣である。前歌の「摺る」を受ける語であり、二首が染めの語を共有している。
結句「露に濡るとも」の「とも」は逆接の仮定条件である。月草の色は落ちやすいから、露に濡れれば衣が台無しになる。それでも折るという言い方で、萩への執心が示される。損得を承知のうえで行うという構えは、巻第二の第百二十六首の西行歌が馴れた末の別れを引き受けたのと通じる。
つきくさ:露草の古名。花で摺り染めた色は落ちやすい
はなすりごろも:花で摺り染めた衣
とも:逆接の仮定条件を表す。〜としても
- 作者
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永縁
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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