秋萩の咲き散る野辺の夕露に
濡れつつ来ませ夜は更けぬとも
- 歌の意味
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秋萩の咲いては散る野辺の夕露に、濡れながらでも来てください。夜が更けたとしても。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 333
詞書は前の歌に続き「題しらず」
萩の六首目である。萩の野を越えて訪ねて来るよう相手に頼む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「人麿」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の歌人で、『万葉集』を代表する歌人である。巻第三では第百九十首に現れた。
場面は秋の夜、場所は萩の生える野辺である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「秋萩の咲き散る野辺の」は、萩が咲いては散る野をいう。咲くと散るを並べて、盛りの過ぎつつある時期であることが示される。
三句「夕露に」で、濡れる原因が示される。露の多い野を歩けば衣は濡れる。第三百二十九首
第三百三十首が露に濡れる衣を詠んだのに続き、この歌では相手の衣が濡れることになる。
四句「濡れつつ来ませ」の「ませ」は尊敬の助動詞「ます」の命令形で、いらしてください、の意になる。「つつ」は継続を表す。
結句「夜は更けぬとも」の「とも」は逆接の仮定条件である。濡れても、遅くなっても来てほしいという二重の譲歩であり、来てほしい気持ちの強さが示される。前の三首が衣の染まりや濡れを自分の側の事柄として詠んだのに対し、この歌はそれを相手に求めており、恋の歌に近い調子をもつ。
さきちる:咲いては散る
ます:尊敬の助動詞。〜なさる
とも:逆接の仮定条件を表す。〜としても
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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