- 歌の意味
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見渡すと、花も紅葉もなかったのだ。浦の苫屋の、秋の夕暮よ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 363
詞書「西行法師すすめて百首歌よませ侍りけるに」
秋の夕暮の七首目で、三夕の歌の三首目にあたる。詞書によれば西行法師が勧めて百首歌を詠ませた折の一首である。前歌の作者である西行が、この歌の成立の契機に関わっていることになる。
作者の「藤原定家朝臣」は藤原定家である。藤原俊成の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。巻第一では第三十八首ほか、巻第二では第百三十四首ほか、巻第三では第二百三十二首ほかに現れた。本巻ではこれが初めての登場である。
場面は秋の夕暮、場所は海辺である。「苫屋」は苫で屋根を葺いた粗末な小屋をいう。
直接の契機は、西行の勧めによる百首歌の詠出である。
初句「見渡せば」は視野を大きく開く語である。巻第二の第三十六首の後鳥羽院歌、本巻の第二百九十一首
第三百十七首でも用いられた。
二句「花も紅葉も」は、春の花と秋の紅葉、すなわち四季の景物を代表する二つを並べたものである。
三句「なかりけり」は前歌および第三百六十一首と同じ句である。三首のうち二首がこの語で結ばれており、否定によって景を示す方法が共有されている。
四句「浦の苫屋の」は海辺の粗末な小屋をいう。色も飾りもない建物であり、二句で否定した花と紅葉に代わって置かれる。
結句「秋の夕暮」は体言止めである。あるはずのものを二つ挙げて否定し、代わりに何の変哲もない小屋を置く構成であり、第三百六十一首が色を否定して常緑の山を置いたのと同じ手順である。三首はいずれも、目立つ景物を退けたところに秋の夕暮を見いだしている。
みわたす:視野を大きく開いて見渡す
とまや:苫で屋根を葺いた粗末な小屋
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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