思ふことさしてそれとはなきものを
秋の夕べを心にぞ問ふ
- 歌の意味
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思うことは、これといって指し示せるものもないのに、秋の夕べのことを心に問うている。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 365
詞書「秋のうたとてよみ侍りける」
秋の夕暮の九首目である。物思いの中身が特定できないことを、自ら心に問う形で詠む。詞書によれば秋の歌として詠まれた。
作者の宮内卿は後鳥羽院に仕えた女房歌人で、若くして世を去った。巻第一では第四首
第七十六首、巻第二では第百二十八首ほか、巻第三では第二百八十一首に現れた。
場面は秋の夕暮、場所は特定されない。
直接の契機は秋の歌としての詠出である。
初句「思ふこと」で主題が掲げられる。
二句「さしてそれとは」は、指し示してこれと、の意である。物思いの対象が特定できないことが示される。第三百四首の実定歌の「ことぞともなく」と同じ観念であり、そちらは涙の理由、こちらは物思いの中身である。
三句「なきものを」の「ものを」は詠嘆を含む接続助詞で、〜であるのに、の意になる。
四句「秋の夕べを」で対象が示される。この一連では「秋の夕暮」が結句に置かれるのが常であるが、この歌では四句に置かれ、結句には別の語が来る。
結句「心にぞ問ふ」は「ぞ」の係り結びである。外に向かってではなく、自分の心に向かって問うという構成であり、第三百五十九首の良経歌が反語で自問したのと同じく、この一連では自らへの問いがくり返される。
さして:指し示して。これといって
ものを:詠嘆を含む接続助詞。〜であるのに
とふ:問う。尋ねる
- 作者
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宮内卿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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