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おぼつかな秋はいかなる故のあれば
すずろに物の悲しかるらん

歌の意味
はっきりしないことだ。秋にはどのような理由があって、わけもなく物が悲しく思われるのだろう。
鑑賞
巻第四 秋歌上 367

詞書は前の歌に続き「秋のうた」
 秋の夕暮の一連を締めくくる位置にある。秋がなぜ悲しいのかという問いを、正面から立てる。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の西行法師は本巻では第二百九十九首
第三百首
第三百六十二首に続く四度目の登場となる。
 場面は秋、場所は特定されない。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「おぼつかな」は、はっきりしない、いぶかしい、の意である。巻第二の第百十五首の成仲歌でも用いられた語である。
 二句「秋はいかなる」は、秋にはどのような、の意である。理由を問う形で歌が立てられる。
 三句「故のあれば」は、理由があるので、の意である。
 四句「すずろに物の」の「すずろなり」は、わけもなく、いわれもなく、の意である。第三百四首の実定歌の「ことぞともなく」、第三百六十五首の宮内卿歌の「さしてそれとは」と同じ観念であり、この巻でくり返されてきた理由なき悲しみが、ここで問いの形にまとめられる。
 結句「悲しかるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、問いを結ぶ。第二百九十九首で同じ作者が「物を思はぬ人にさへ心をつくる」と述べたのは秋風の働きの記述であったが、この歌はその働きの理由を問うており、記述から問いへ進んでいる。答えは示されず、問いのまま置かれる。

おぼつかなし:はっきりしない。いぶかしい
ゆゑ:理由。わけ
すずろなり:わけもない。いわれもない
作者
西行法師
出典
新古今和歌集
その他の歌