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秋来れば常磐の山の松風も
うつるばかりに身にぞしみける

歌の意味
秋が来ると、常緑の山の松風でさえ、色が移るかと思うほどに身にしみるのだった。
鑑賞
巻第四 秋歌上 370

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 秋風が身にしみることを、色の変わらない松を引き合いに出して詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の和泉式部は平安時代中期の女房歌人である。生没年は伝わらない。上東門院彰子に仕え、情熱的な恋の歌で知られる。
 場面は秋、場所は常磐の山である。「常磐」は常に変わらない意で、常緑樹の茂る山をいう。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「秋来れば」は確定条件である。
 二句「常磐の山の」の「常磐」はいつまでも変わらない意で、巻第一の第六十六首の良経歌でも用いられた語である。色の変わらない山が引き合いに出される。
 三句「松風も」の「も」は、松風までも、の含みである。松は常緑で秋に色を変えないから、本来は秋を感じさせない木である。第二百九十首の秀能歌、第三百六首の七条院権大夫歌でも、松と秋の関わりが問題にされていた。
 四句「うつるばかりに」の「うつる」は色が移る意で、「ばかり」は程度を表す。色の変わらないはずの松にまで色が移るかと思うほど、という誇張になる。
 結句「身にぞしみける」は「ぞ」の係り結びである。「身にしむ」は身にこたえる意で、巻第三の第二百八十一首、本巻の第三百二十二首でも用いられた語である。変わらぬものにまで変化が及ぶという言い方で、秋風の力が示されている。

ときは:いつまでも変わらない。常緑である
うつる:色が移る
みにしむ:身にこたえる。深く感じる
作者
和泉式部
出典
新古今和歌集
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