眺めわびぬ秋よりほかの宿もがな
野にも山にも月やすむらん
- 歌の意味
-
眺めるのにも疲れてしまった。秋以外の宿があってほしい。野にも山にも月は澄み、また住んでいるのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第四 秋歌上 380
詞書は前の歌に続き「月歌」
月の二首目である。秋から逃れる場所を求めるが、どこにも月があるだろうと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の式子内親王は本巻では第三百八首ほかに続く五度目の登場となる。
場面は秋の夜、場所は特定されない。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「眺めわびぬ」の「わぶ」はつらく思う、思いわずらう意である。巻第三の第二百四首の紫式部歌でも「待ちぞわびにし」と用いられた。眺めることそのものに疲れたことが示される。
二句
三句「秋よりほかの宿もがな」の「もがな」は願望を表す終助詞である。秋でない場所へ移りたいという、季節からの避難を求める言い方になる。
四句「野にも山にも」は、どこにも、の意である。逃れ先を探して、その両方が挙げられる。
結句「月やすむらん」の「すむ」は、月の光が澄む意と、住む意とを兼ねる。「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量である。どこへ行っても月が澄んでいる、また月が住んでいるという二重の意によって、逃れ場のないことが示される。第三百七十四首の通具歌でも「すみこし」が同じ二つの意を兼ねており、二首が同じ語を用いている。
わぶ:つらく思う。思いわずらう
もがな:願望を表す終助詞。〜があってほしい
すむ:月の光が澄む意と、住む意を兼ねる
- 作者
-
式子内親王
- 出典
-
新古今和歌集
- その他の歌
-