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月影の初秋風とふけゆけば
心づくしに物をこそ思へ

歌の意味
月の光と初秋の風とともに夜が更けていくと、心を尽くして物思いをするばかりだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 381

詞書「題しらず」
 月の三首目である。月光と秋風のもとで夜が更けるにつれ、物思いが深まると詠む。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
 作者の円融院(九五九〜九九一)は村上天皇の第五皇子である。譲位後は円融院と称された。第三百二十五首の作者である徽子女王は村上天皇の女御であり、その御代の人である。
 場面は秋の夜、場所は特定されない。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「月影の」の「影」は光をいう。
 二句「初秋風と」は、初秋の風とともに、の意である。「と」は並列を示す。月の光と風という、視覚と触覚の二つが並べられる。
 三句「ふけゆけば」は、夜が更けていくと、の意である。時間の経過が示される。
 四句「心づくしに」の「心づくし」は心を尽くすこと、あれこれ思い悩むことをいう。巻第二の第百四十三首の殷富門院大輔歌、本巻の第三百四十二首の経信歌でも用いられた語である。
 結句「物をこそ思へ」は「こそ」の係り結びで、「思へ」は已然形である。第三百五十四首の重之女歌も同じ句で結んでおり、二首が語を共有している。月と風が揃うことで物思いが極まるという構成であり、この巻でくり返されてきた秋と物思いの結び付きが、月の一連でも保たれている。

かげ:月や日の光
ふけゆく:夜が更けていく
こころづくし:心を尽くすこと。あれこれ思い悩むこと
作者
円融院
出典
新古今和歌集
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