あしひきの山のあなたに住む人は
待たでや秋の月を見るらん
- 歌の意味
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山の向こう側に住む人は、待つこともなく秋の月を見ているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 382
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月の七首目である。山に隔てられて月の出が遅い側から、向こう側の人を思いやる。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の三条院(九七六〜一〇一七)は冷泉天皇の第二皇子である。眼病のために譲位した。
場面は秋の夜、場所は山のこちら側である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「あしひきの」は「山」に掛かる枕詞である。巻第二の第百六十二首、巻第三の第百九十六首でも用いられた。
二句「山のあなたに」の「あなた」は向こう側をいう。山を境として二つの側が立てられる。
三句「住む人は」で、その向こう側の人が示される。
四句「待たでや」の「で」は打消の接続助詞、「や」は疑問の係助詞である。待たずに、の意になる。こちらは山に遮られて月の出を待つが、向こう側では先に月が見えるはずだという理屈である。
結句「月を見るらん」の「らん」は現在推量の助動詞である。自分のいない場所の状態を推し量る型であり、巻第三の第百九十二首の弁乳母歌が「いづれの宿の誰か聞くらん」と他人の耳を思ったのと同じく、同じ時刻に別の場所にいる人を思う構成である。
あしひきの:「山」に掛かる枕詞
あなた:向こう側
で:打消を表す接続助詞。〜ないで
- 作者
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三条院
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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