人よりも心の限り眺めつる
月は誰とも分かじものゆゑ
- 歌の意味
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人よりもいっそう、心の限りを尽くして眺めてきた。月のほうは誰とも見分けはしないだろうに。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 384
詞書「題しらず」
月の九首目である。人一倍月を眺めても、月はこちらを見分けないと詠む。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の「堀河右大臣」は藤原頼宗(九九三〜一〇六五)である。藤原道長の子で、右大臣に至った。堀河に邸を構えたことからこの呼び名がある。
場面は秋の夜、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「人よりも」は、ほかの人よりも、の意である。他人との比較から歌が始まる。
二句「心の限り」は、心の及ぶ限り、ありったけ、の意である。巻第三の第二百四首、本巻の第三百四十二首でも用いられた語である。
三句「眺めつる」の「眺む」は物思いにふけって見る意で、「つる」は完了の助動詞の連体形である。
四句「月は誰とも」で、相手の側が示される。
結句「分かじものゆゑ」の「分く」は見分ける意、「じ」は打消推量、「ものゆゑ」は逆接を含む接続助詞で、〜であるのに、の意になる。こちらがどれほど心を尽くしても、月はこちらを他の誰とも区別しない。一方だけが思いを寄せるという構図であり、月を人に見立てる型が働いている。
こころのかぎり:心の及ぶ限り。ありったけ
わく:見分ける。区別する
ものゆゑ:逆接を含む接続助詞。〜であるのに
- 作者
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藤原頼宗
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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