あやなくも曇らぬ宵をいとふかな
しのぶの里の秋の夜の月
- 歌の意味
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筋の通らないことに、曇らない宵をいとわしく思うことだ。しのぶの里の、秋の夜の月よ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 385
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月の十首目である。晴れた宵をいとうという、道理に合わない心を詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の橘為仲(生年未詳〜一〇八五)は平安時代後期の歌人である。陸奥守として任地に下ったことが知られる。
場面は秋の宵、場所は陸奥国の歌枕である信夫の里(現在の福島市の一帯)である。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「あやなくも」の「あやなし」は筋が通らない、わけがわからない、の意である。自分でも理屈に合わないと認めたうえで述べる形になる。
二句「曇らぬ宵を」は、曇らない宵、すなわち月のよく見える夜をいう。
三句「いとふかな」の「いとふ」はいとわしく思う意で、巻第二の第百二十五首
第百四十首でも用いられた語である。月を賞美する歌が続くなかで、その月を避けたいと述べる点でこの歌は異色である。
四句「しのぶの里の」の「しのぶ」は地名であるが、その音に人目を忍ぶ意、また思い慕う意が響く。晴れた夜を避けたいのは、忍ぶ身であるからだという読みが成り立つ。
結句「秋の夜の月」は体言止めである。第三百七十五首でも用いられた結句であり、この月の一連でくり返される。
あやなし:筋が通らない。わけがわからない
いとふ:いとわしく思う。嫌う
しのぶ:陸奥国の地名。人目を忍ぶ意を響かせる
- 作者
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橘為仲
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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