月はなほ漏らぬ木の間もすみよしの
松をつくして秋風ぞ吹く
- 歌の意味
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月はなお木の間から漏れてこないけれども、その住吉の松をことごとく鳴らして秋風が吹いている。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 396
詞書「月前風」
月の二十一首目である。詞書の「月前風」は、月の前の風、の意である。月は見えないが、風だけが松を吹き抜けると詠む。
作者の寂蓮法師は俗名を藤原定長といい、藤原俊成の甥で養子となった。のちに出家し、『新古今和歌集』の撰者に任じられたが、完成を見ずに没した。本巻では第三百六十一首に続く二度目の登場となる。
場面は秋の夜、場所は摂津国の住吉である。松の名所として知られた。
直接の契機は「月前風」の題による詠である。
初句
二句「月はなほ漏らぬ木の間も」は、月はなお木の間から漏れてこない、の意である。第三百七十五首の俊成女歌が「森の木の間をもりかねて」と詠んだのと同じ状況である。
三句「すみよしの」は地名であるが、その音に月が「澄む」意が響く。月は漏れてこないのに、地名の中にだけ澄む月があることになる。
四句「松をつくして」の「つくす」は残らず〜する、の意である。すべての松を鳴らして、の意になる。巻第二の第百首、本巻の第三百四十二首でも用いられた語である。
結句「秋風ぞ吹く」は「ぞ」の係り結びである。月は見えず、風の音だけが全体に及ぶという構成であり、目に見えるものを欠いて音だけが残る型は、第三百七十二首の相模歌にも見られた。
もる:光が漏れる
すみよし:摂津国の地名。「澄み」の音を響かせる
つくす:残らず〜する
- 作者
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寂蓮法師
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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