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あしひきの山路の苔の露の上に
寝覚め夜深き月を見るかな

歌の意味
山路の苔に置く露の上で、夜深く目覚めて月を見ることだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 398

詞書「山月といふことをよみ侍りける」
 月の二十三首目である。詞書の「山月」は山の月の意である。山路に眠り、夜更けに目覚めて月を見る場面を詠む。
 作者の藤原秀能は後鳥羽院に北面の武士として仕えた。歌人としても院に重んじられ、承久の乱の後は出家して如願と号した。本巻では第二百九十首に続く二度目の登場となる。
 場面は秋の夜更け、場所は山路である。
 直接の契機は「山月」の題による詠である。

 初句「あしひきの」は「山」に掛かる枕詞である。第三百八十二首の三条院歌でも用いられた。
 二句
三句「山路の苔の露の上に」は、山道の苔に置いた露の上、の意である。旅寝の場所が示される。巻第一の第七首の西行歌でも「苔の下水」と苔が詠まれていた。
 四句「寝覚め夜深き」の「寝覚め」は夜中に目が覚めることで、第三百九十五首の良経歌でも用いられた語である。「夜深き」は夜の更けたことをいう。
 結句「月を見るかな」は「かな」の詠嘆で結ばれる。露の上に寝るという苦しい旅寝の中で、目覚めて月を見るという構成であり、身体の不如意と月の美しさとが同じ場面に置かれている。

あしひきの:「山」に掛かる枕詞
こけ:苔
ねざめ:夜中に目が覚めること
作者
藤原秀能
出典
新古今和歌集
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