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こと問はん野島が崎のあま衣
波と月とにいかがしほるる

歌の意味
尋ねてみよう。野島が崎の海人の衣は、波と月と、どちらのために濡れているのかと。
鑑賞
巻第四 秋歌上 402

詞書「題しらず」
 海辺の月の四首目である。海人の衣が濡れているのは波のためか月のためかと問う。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
 作者の七条院大納言は、後鳥羽院の生母である七条院殖子に仕えた女房歌人である。生没年は伝わらない。第三百六首の作者である七条院権大夫も同じ主に仕えた。
 場面は秋の夜、場所は淡路国の歌枕である野島が崎である。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「こと問はん」の「こと問ふ」は尋ねる、語りかける意である。巻第三の第二百七十七首の式子内親王歌でも用いられた語である。「ん」は意志の助動詞である。
 二句「野島が崎の」で場所が定まる。「が」は連体を示す古い格助詞である。
 三句「あま衣」は海人の着る衣をいう。
 四句「波と月とに」は、波によってか月によってか、の意である。波は海水で濡らし、月は光を宿すことで濡れたように見せる。
 結句「いかがしほるる」の「しほる」は濡れてしおれる意である。第三百九十九首が月を宿す袖を、第四百一首が労働に濡れる袖を詠んだのに続き、この歌はその二つを並べてどちらかと問う。三首が海人の袖を軸に並べられている。

こととふ:尋ねる。語りかける
のじまがさき:淡路国の歌枕
しほる:濡れてしおれる
作者
七条院大納言
出典
新古今和歌集
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