たのめたる人はなけれど秋の夜は
月見て寝ぬべき心地こそせね
- 歌の意味
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頼みに思わせてくれる人がいるわけでもないけれど、秋の夜は、月を見て寝てしまう気にはとてもなれない。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 408
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月と心の五首目である。待つ相手がいるわけでもないのに眠れないと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の和泉式部は平安時代中期の歌人である。本巻では第三百七十首に続く二度目の登場となる。
場面は秋の夜、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句「たのめたる」は、人に期待を抱かせる、の意の「たのむ」の他動詞形である。第三百七十五首
第三百七十六首の「人たのめなる」と同じ語であり、そちらは月や稲妻が人に期待させるものであった。ここでは待つ相手がいないことが述べられる。
二句「人はなけれど」の「ど」は逆接である。待つ理由がないと断ったうえで、それでも眠れないと続ける。
三句「秋の夜は」で場面が定まる。
四句「月見て寝ぬべき」の「べし」は当然を表す。月を見たら寝てもよいはずだ、という理屈が置かれる。
結句「心地こそせね」は「こそ」の係り結びで、「ね」は打消の已然形である。そういう気になれない、の意になる。巻第三の第百九十八首の白河院歌が「来ぬ人を待つ我のみぞ聞く」と待つ人を詠んだのに対し、この歌は待つ相手がいないのに起きているという点で、理由のなさが際立つ。
たのむ:人に期待を抱かせる
べし:ここでは当然を表す助動詞
ここち:気持ち。心持ち
- 作者
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和泉式部
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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