眺めつつ思ふに濡るる袂かな
いく夜かは見ん秋の夜の月
- 歌の意味
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眺めながら思うにつけて濡れる袂であることだ。あといく夜これを見ることができるだろう、秋の夜の月を。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 415
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雲と月の一連を受け、残された夜の数を数える。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の殷富門院大輔は、後白河天皇の皇女である亮子内親王、すなわち殷富門院に仕えた女房歌人である。巻第一では第七十三首、巻第二では第百四十三首に現れた。
場面は秋の夜、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
なお本文の二句は「思ふに濡るる」とあり、読み仮名の行の「おもふもぬるる」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「眺めつつ」の「眺む」は物思いにふけって見る意で、「つつ」は継続を表す。第三百九十二首の家隆歌と同じ初句である。
二句「思ふに濡るる」は、思うにつけて濡れる、の意である。「に」は原因を表す。
三句「袂かな」で涙が示される。
四句「いく夜かは見ん」の「かは」は反語の係助詞である。あといく夜見られようか、いくらも見られまい、の意になる。巻第二の第百四十二首の俊恵歌が「眺むべき残りの春を数ふれば」と残りの春を数えたのと同じ、自らに残された時間を数える型である。
結句「秋の夜の月」は体言止めである。本巻でくり返される結句であり、この歌で五度目となる。
ながむ:物思いにふけって見る
かは:反語を表す係助詞
たもと:袖
- 作者
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殷富門院大輔
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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