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更くるまで眺むればこそ悲しけれ
思ひも入れじ秋の夜の月

歌の意味
夜が更けるまで眺めるからこそ悲しいのだ。もう心を入れて見るまい、秋の夜の月を。
鑑賞
巻第四 秋歌上 417

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 前歌に続き、月を見ることをやめようと決める。原文では詞書も作者名も改めて記されておらず、前の歌と同じ作者が続くことを示している。
 作者は前歌に続いて式子内親王である。
 場面は秋の夜、場所は特定されない。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「更くるまで」は、夜が更けるまで、の意である。
 二句「眺むればこそ」は「こそ」の係り結びで、三句の已然形が結びとなる。眺めるからこそ、と原因を限定する形である。第三百五十九首の良経歌が「物思はでかかる露やは袖に置く」と原因を突き止めたのと同じく、悲しみの原因を自らの行為に帰している。
 三句「悲しけれ」で結びとなる。
 四句「思ひも入れじ」の「思ひ入る」は心を込めて思う意、「じ」は打消意志の助動詞である。原因がわかったのだからやめよう、という結論になる。
 結句「秋の夜の月」は体言止めである。前歌が仮定によって惜しむ心を示したのに対し、この歌はその心を断とうと決める。二首が同じ作者によって並べられ、惜しむ心とそれを断つ決意とが続けて置かれている。

ふく:夜が更ける
おもひいる:心を込めて思う
じ:打消意志の助動詞。〜まい
作者
式子内親王
出典
新古今和歌集
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